Gaussian Splatting(ガウシアン・スプラッティング)は、写真やスキャンから得られた点群データを「ガウス分布(ぼかした点)」として描画し、高速かつ高品質に3Dシーンを可視化する最新の手法です。ポリゴンやメッシュを使う従来の手法とは異なり、1つ1つの点が色や透明度、形状をもった“ガウス”として直接描画されるため、リアルタイムでの滑らかで自然な表示が可能です。
従来のフォトグラメトリでは、写真から3Dモデルを生成し、それをポリゴンに変換してレンダリングするのが一般的でした。しかしこの工程は処理が重く、リアルタイム表示には向いていません。Gaussian Splattingは、複雑なポリゴン化やテクスチャマッピングを行わずに直接点を可視化できるため、表示が高速でVR/ARやインタラクティブなコンテンツに適しています。
フォトグラメトリは、多数の写真から特徴点を抽出し、メッシュやテクスチャを生成して3Dモデルを構築します。一方、Gaussian Splattingでは、写真から得られる3D点群に対してガウス分布を割り当て、点を直接レンダリングします。そのため、複雑なメッシュ処理が不要で、細かい形状や質感も滑らかに表現できます。特に光の反射やぼかしの自然さが強みです。
水中調査や文化財の記録など、環境条件が厳しい場面でもGaussian Splattingは効果を発揮します。たとえば、濁水や低照度で撮影されたデータからでも滑らかで見やすい3D可視化が可能です。ポリゴンデータの最適化や軽量化を行わずに、そのままリアルタイム表示やVR閲覧に使える点が大きな利点です。
NeRF(Neural Radiance Fields)も写真から3Dシーンを再現する先進的な技術ですが、表示速度が遅く、インタラクティブな用途には向いていません。Gaussian Splattingは、NeRFに比べて圧倒的に高速な描画を実現しつつ、見た目の精度も高く維持できるため、研究用途だけでなく一般向けアプリケーションへの展開も期待されています。
Gaussian Splattingは、フォトグラメトリに慣れたユーザーにとって、従来の3D再構築手法と比べて大きな変化をもたらす技術です。リアルタイム表示のニーズが高まるなか、軽量かつ高品質な描画を両立できるこの技術は、今後ますます多くの分野で導入されていくことでしょう。
また、当社の水中文化財デジタル保存の取り組みに更なる向上を得られることも期待できます。
水中文化財調査