長崎県対馬の最北西端に位置する矢櫃(やびつ)は、朝鮮半島に最も近いことから、古代より大陸との交流の接点であった鰐浦の西方約2kmにある無人の浦で、中世朝鮮の記録には室町時代の通信使の船が停泊したと記録されています。
矢櫃の浦には岸壁や突堤が残っていることもあり、当社はアジア水中考古学研究所(ARIUS)との共同研究による調査を行いました。
マルチビーム音響測深機による海底地形調査、ドローンによる写真測量、東京大学との共同開発による海底マッピングシステム(SSS)で海底の写真測量を実施し、矢櫃全体の3次元モデルを作成するためのデータを取得しました。
中世に造られたとみられる石積み
海底から垂直に建つ石積みが確認できる
ドローンによる写真測量
調査概要にて地元記者より取材
矢櫃には現在4箇所の石積みの護岸跡地が確認されています。この護岸はかつて大陸からの船を一時的に非難・停泊させていた施設ではなかったかと考えられていますが、詳細は未だ多くの謎に包まれており、当社の調査が歴史の解明に繋がれば幸いです。
この調査は3ヶ年にわたり行われる予定で2018年、2019年の調査は完了しました。
水中から地上へ続く石積みの画像をオルソ化
陸からの写真測量
水中からの写真測量
取材では取得データを公開
調査船にて調査を行う様子