ニホンジカ(Cervus nippon)は日本に生息するシカで、近年その個体数と生息域が急激に拡大してきました。現在のニホンジカの個体数は過去10万年間で最大、あるいはそれに近い水準まで増加しており、捕食者の絶滅との関係は明確ではなく、主な要因は人間による捕獲圧の低下であることが研究によって明らかになっています。 なお、個体数は平成26年度(2014年度)をピークに減少傾向に転じているものの、依然として高い水準にあり、その影響による森林や農地への被害が深刻化し、広範な環境問題へと発展しています。
環境省の調査によれば、1978年から2018年までの約40年間でニホンジカの生息域は2.7倍に拡大し、現在は国土の約7割に生息しているとされています。 また、本州以南のニホンジカの個体数は令和4年度末時点で中央値約246万頭と推定されており、環境省と農林水産省が設定した半減目標の達成が困難な状況が続いています。
ニホンジカによって若木や下草が食べ尽くされることで、森林の再生が困難になります。シカによる森林被害は、再造林や適切な森林整備の実施に支障を及ぼし、土壌流出などにより森林の有する公益的機能の発揮に影響を与えるおそれがあります。 これにより、豪雨時に土砂崩れが発生しやすくなり、山間部では人的被害やインフラへの影響が懸念されています。
ニホンジカの食害は、特定の植物種の減少を引き起こし、生態系のバランスを崩します。実際に、絶滅危惧種ツシマヤマネコが生息する長崎県対馬では、ニホンジカの個体数増加に伴い島内広範囲で下層植生の急激な衰退が生じ、小型哺乳類の個体数減少が確認されています。 希少種の植物や動物への影響は全国各地で報告されています。
農林水産省の発表によると、野生鳥獣による農作物被害は令和4年度で約156億円にのぼっており、ニホンジカはその主要な原因のひとつとなっています。 収穫前の作物が被害を受けることで農家の収入減少や経営の不安定化が進行しており、農林業に被害をもたらす野生動物の生息域拡大は、経営意欲の減退を加速させ、それがさらなる被害を招くという悪循環を生んでいます。
現在、ニホンジカの個体数管理には、捕獲や忌避剤の使用、フェンスの設置などが行われています。環境省の資料によると、ドローン等の新たな技術を用いた効果的な捕獲技術の導入支援も各地で進んでいますが、 広範囲に及ぶ生息地の監視や調査には多大な人的リソースを要し、迅速な対応が難しいのが現状です。
当社では、ドローンを活用した空撮により広範囲を効率的に調査し、その映像をAIで解析することで、ニホンジカの個体数や行動パターンを把握しています。赤外線センサーカメラを搭載したドローンによる上空からの撮影では、ニホンジカを判別可能なクオリティで撮影できることが実証されており、 夜間調査においても動物の発熱反応をもとに対象を検出することが可能です。
この技術は、従来の手法と比較して調査にかかる時間とコストの削減につながるとともに、人的ミスの軽減や精度の向上にも貢献します。地域の自治体や農林業者との連携を通じて、被害軽減策の立案にも役立てられています。
ニホンジカによる被害は今後も継続する可能性が高く、持続可能な対策が求められています。ウインディーネットワークは最先端の技術を駆使し、正確な調査と効果的な対策支援を通じて、生態系の保全と社会との共生に貢献していきます。
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