なぜ太陽光パネルの「赤外線サーマルカメラ+AI点検」が注目されるのか
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赤外線サーマルカメラとAIを組み合わせた点検
太陽光発電設備は設置後、汚れ・影・接続不良・異常発熱(ホットスポット)などが発生し、発電効率や安全性に影響を与える可能性があります。こうした点検作業を、ドローン+赤外線サーマルカメラ+AI技術で支援する動きが、効率・精度・安全性の観点から急速に広まりつつあります。
技術構成:赤外線サーマルカメラ+ドローン+AI解析
以下の要素が複数の文献・事例で確認されています。
- 赤外線サーマルカメラによる温度モニタリング:熱異常(ホットスポット)や異常発熱の可視化に有効であることが報告されています。
- ドローンによる広域撮影とデータ収集:UAV(無人航空機)を用いて、上空からソーラーパネルを効率的に撮影する方式が実用化されています。
- AI/機械学習による異常検知・データ解析:赤外線画像・可視画像データを用いたAIモデルによるパネル異常検出・分類の研究が進んでいます。
実践例と報告されている効果
具体的な活用例と、その効果として報告されている内容を紹介します。
- ドバイのMohammed bin Rashid Al Maktoum Solar Park(900 MW級)において、ドローン+AIを用いた点検が実施され、膨大な撮影画像から異常位置の特定が行われています。
- ある79 MW級の太陽光発電所では、サーマルカメラ搭載ドローンによる全パネル撮影が1日で行われ、「モジュールレベル・サブモジュールレベルの異常数」「発電損失への影響」などが報告されています。
導入時の留意点
こうした技術には有効性が確認されている一方で、運用にあたって確認すべき点も複数あります。
- 撮影・解析精度はカメラ性能・撮影条件(角度・高さ・日射量・影・汚れ)・飛行ルート設計に左右されます。
- ドローン飛行や撮影データ取得には、機体運用・データ処理・解析体制などの整備が必要です。
- サーマルカメラ・AI解析ともに「万能」ではなく、異常の種類・環境条件・パネル構成などによって検出精度にばらつきが出ることが研究論文でも指摘されています。
今後の展望
ウインディーネットワークでは現在、赤外線サーマルカメラで取得した温度分布データと、ドローンによる空撮画像を統合解析する専用AIプログラムを開発しています。 本プログラムは、日陰やクラックなどの要因によって生じるモジュールおよびアレイ単位での異常発熱(ホットスポット)を可視化します。 AI解析を活用することで、点検スケジュールの最適化や予知保全を実現し、お客様の運用コスト削減に貢献することを目指しています。