海洋調査や洋上風力発電の基礎設計において、海底の形状や構造、埋設物の把握は欠かせません。
当社では、調査目的に応じて複数の音響機器を使い分けています。本記事では、「マルチビーム音響測深機」「サイドスキャンソナー」「サブボトムプロファイラ」の違いや用途をわかりやすく解説します。
マルチビーム音響測深機は、海底に向けて音波を扇状に発射し、その反射から高密度かつ高精度な水深データを収集する音響機器です。広範囲の海域を効率的に測定でき、得られたデータは海底の深浅や地形変化を詳細に捉えた3次元マップとして再構成されます。このような地形情報は、施工計画や航路設計、地質リスクの評価など、さまざまな海洋調査・開発用途に活用されています。
用途例:
マルチビーム音響測深機
サイドスキャンソナーは、調査船に設置または曳航などで使用される音響機器で、海底の広範囲にわたる画像を取得することができます。音波の反射強度をもとに、沈船や構造物、岩礁などの形状や分布を視覚的に把握できるほか、底質の分布解析にも適しており、海底環境の詳細な情報把握に貢献します。また、海底ケーブルの敷設ルート調査にも活用され、障害物や地形の変化を検出することで、安全かつ効率的なルート選定を可能にします。
用途例:
サイドスキャンソナー
サブボトムプロファイラは、海底下の地層構造を調査するための音響機器で、低周波の音波を海底に向けて発信し、その反射波を解析することで、堆積層の厚さや硬さ、地盤の特性を評価します。これにより、地層構造のリアルタイムな断面図を作成し、詳細な地質情報を得ることが可能です。実際の調査では、海底に突き刺さった潜水艦の埋没部調査や、浜名湖に沈んでいるとされる旧日本軍の戦車の捜索などにも活用されており、海底下に存在する人工構造物や異物の発見にも有効な手段となっています。
用途例:
サブボトムプロファイラ
調査の目的や現場の状況に応じて、これらの音響機器は単独または組み合わせて使用されます。
例えば、マルチビームで海底地形図を作成し海底状況を把握、サイドスキャンソナーで詳細な画像を取得し、さらにサブボトムプロファイラで地層構造を解析するといった運用が可能です。
当社では、調査設計からデータ解析・報告書作成まで一貫して対応し、現場に最適な機器構成をご提案します。
洋上風力、港湾整備、環境調査など、海洋事業には多様な音響機器の活用が求められます。
ウインディーネットワークは、現場の課題に応じて最適な調査ソリューションを提供し、持続可能な海洋利用に貢献しています。
海洋調査技術