
AIチャットボット「DeepSeek」とは?その技術と応用の可能性
近年、AIチャットボットの性能が飛躍的に進化しています。中でも注目を集めているのが、中国・深層求知(DeepSeek)社が開発した大規模言語モデル「DeepSeek」シリーズです。2024年には、数千億パラメータ規模のモデルが発表され、多言語対応や数理演算、長文読解において非常に高い精度を誇るとされています。
DeepSeekの特徴と技術的背景
DeepSeekは、検索エンジンの構築技術と大規模言語モデルを融合させた構成をとっており、いわゆる「検索拡張生成(RAG)」の思想が取り入れられています。これは、外部知識へのアクセスと自然言語生成を組み合わせることで、より現実的で文脈に沿った応答が可能になるという手法です。
特筆すべきは、GitHub上でその基盤モデル「DeepSeek-V2」がオープンソースとして公開されている点です。これにより、研究機関や企業が独自にカスタマイズや実装を行うことが可能になっています。特に多言語学習能力が高く、日本語の処理能力についても今後さらなる発展が期待されています。
想定される活用分野
DeepSeekのような高度なチャットボットは、以下のような多様な分野での応用が考えられます。例えば、カスタマーサポートの自動化、自治体・行政での住民対応、教育分野での質問応答や指導支援、あるいは産業現場でのマニュアル代替・現場支援などが挙げられます。特に多言語対応が可能な点は、観光案内やグローバルな対応が求められる分野において優位性があります。
ウインディーネットワークの立場と関心
現在ウインディーネットワークでは、AIチャットボットを直接的に取り扱ってはいませんが、当社が提供するソリューション(測量、海洋調査、点検、災害対応等)においても、将来的にAIとの連携が有効であると考えています。
懸念されるセキュリティリスク
DeepSeekのような外部製AIモデルを業務に取り入れる際、以下のようなセキュリティ面での懸念が指摘されています。
- 機密情報の漏洩リスク:チャットボットに入力した情報が外部サーバに送信・保持される可能性があるため、業務データの扱いには慎重さが求められます。
- バックドアや不正通信:ソースコードが公開されているとはいえ、外部提供のモデルに不正な挙動が埋め込まれていないか精査する必要があります。
- 法的・国際的な懸念:中国製AIに対する信頼性や政治的リスクへの懸念も、グローバル企業を中心に無視できない要素です。特に欧米の企業では、データ主権やコンプライアンスの観点から導入が慎重に進められています。
- ハルシネーション(虚偽回答):DeepSeekを含む大規模言語モデルは、確からしく見える誤情報を生成するリスクもあるため、情報の出所や精度確認が必須です。
こうしたリスクを踏まえると、社内サーバ上で完結するローカルLLM構成や、ファインチューニングによる安全性強化が必要になる場面も多いと考えられます。
まとめ
DeepSeekは、オープンソースでありながら高い性能を持ち、多言語対応やコード生成にも長けた有望なチャットAIです。とはいえ、業務導入にあたってはセキュリティや法的側面に十分配慮する必要があり、私たちのようなAI専門外の企業にとっては、導入前の慎重な検証が不可欠です。
今後、私たちのような現場系企業においても、点群処理や映像分析と連携する自然言語AIの活用が進んでいく可能性は高く、今後の動向を注視していきたいと考えています。