海底72mに沈んだ客船スカンジナビア号
静岡県沼津港で海上ホテルとして長年に亘り親しまれた元豪華客船「スカンジナビア号」(全長127m 5,105トン)がスウェーデン企業に売却され改修のため中国・上海に向け、引船でえい航中に和歌山県串本町潮岬より西北西約3㎞沖の海上で沈没したことを知り、地元企業として地元そして関係者の思いを込め調査に向かいました。
最先端機器「マルチビーム音響測深システム」
調査は、2006年9月12日正午、天候は小雨で微風、海上の波は多少のうねりもある中調査を開始しました。
使用した調査機器は、当時全国的に数少ない超音波を使った最先端調査機器マルチビーム音響測深システムでした。この機器は、船と直交方向に120度を一度にカバーしながら、240本の超音波を形成。また、測深ビームは分解能6mmの測深データを1秒間に40回出力し、測深データと共に反射強度のデータが同時に得られるため、海底地形の様子を精密に探ることが出来るシステムです。
今回の調査では、透明度が悪く水中カメラで捉えにくい状況でも対象の画像を描き出すことが出来ました。
マルチビーム音響測深機が捉えた船体
結果として、着地場所は砂地であり多少左舷に傾いていましたが、全体としては大きな損傷もなく平坦な砂地の上に1.5mから2m船底を沈め海底に沈んでいます。
海底に沈んだ船体を捉えた
海底に沈んだ船体を捉えた